作品について
未来のアラブ人 中東の子ども時代(1978–1984)
The Arab of the Future: A Childhood in the Middle East, 1978-1984
シリア人の大学教員の父とフランス人の母のあいだに生まれた、ヨーロッパを代表するマンガ家の自伝的コミック。各国でベストセラーとなり、累計200万部を突破した人気シリーズの一作品。カダフィ政権下のリビアに移住して大学教員となったリアドの父、アブデル・ラザック。しかしリビアでは、食物は配給制、住居の私有は禁止されており、やがて一家は、母、クレモンティーヌの故郷、フランス・ブルターニュ地方に一時的に身を寄せる。アブデル・ラザックはダマスカス大学への就職を選び、ハーフィズ・アル=アサド政権下のシリアに移住し、彼の出身地の貧村に住む。理不尽な家族関係、処刑された人の姿などを見つめつつ、父が望む「未来のアラブ人」を目指し、リアドはたくましく育っていく。作中ではリビアでの出来事は黄色、フランスは水色、シリアはピンクとそれぞれ色分けされ、文化の狭間で翻弄される主人公の姿をコミカルに描いた。