文化庁メディア芸術祭 京都展

文化庁メディア芸術祭京都展

Japan Media Arts Festival in Kyoto POETRY FOUND BY SCIENTISTS Eyes for the world
科学者の見つけた詩−世界を見つめる目−

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Japan Media Arts Festival in Kyoto POETRY FOUND BY SCIENTISTS Eyes for the world
科学者の見つけた詩−世界を見つめる目−

ダブル
野田彩子

第23回 マンガ部門優秀賞
©野田彩子/ヒーローズ
株式会社ヒーローズ
2019年-
作品について

ダブル

DOUBLE
小劇場で活動する俳優の生活や、演劇、映像の現場をリアリティ溢れる筆致で描いた作品。役者を志す、鴨島友仁と宝田多家良は小さな劇団に所属して7年。もともと学生演劇に携わっていた友仁が、素人の多家良に演技の仕方を教え込んだところ、多家良は友仁を嫉妬させるほどの才能を発揮するようになった。しかし、それを見抜いているのはまだ友仁だけ。友仁はそんな多家良の才能を世間に知らしめようと、安いアパートの隣同士の部屋を借りて共同生活し、生活力のない多家良を全面的に支える。友仁も自らの夢を諦めたわけではなく、多家良とともに「世界一の役者になりたい」という想いを抱えたまま。そんななか、多家良は少しずつ役者としての道を歩み始めていく。友仁の多家良に対する複雑な感情、多家良の魅力と支えがなければ生きていけない危うさを、演技シーンを象徴的に盛り込んで表現。登場人物がその時々で抱く感情の機微も、繊細な線で描き分けた。
作家プロフィール

野田彩子

Ayako Noda
2011年、「鮫島さん」で月刊IKKI(小学館)の新人賞・イキマンを受賞しデビュー。ヒーローズのWEBメディア、『コミプレ』内『ふらっとヒーローズ』にて『ダブル』を連載中。著作に『わたしの宇宙』(小学館 ) 、『いかづち遠く海が鳴る』(小学館)、『潜熱』(小学館)など。
贈賞理由

第23回 マンガ部門優秀賞

おおむねマンガの中の主人公は一人ということになっている。主人公を2人にするとどうしても片方に感情が寄って行き、結局は一人の物語を書いてしまう事になりがちなのだ。『ダブル』、このマンガは主人公2人の、生き方、成長の仕方をしっかりと描いている。しっかりと描けるという事は主人公およびサブキャラクターの人物設定がきちんとされているからに他ならない。そして作者が実際に歩いて綿密な取材をしてきたと思われる舞台がこれまたしっかりとした画力で描かれている。ストーリーのなかの起伏ある静かなセリフと感情的なセリフ。そのセリフに合う感情表現豊かな絵。そして主人公の多家良はこれからどうなるの? 主人公の友仁はこれからどうするの? この「どうなる? どうする?」の繰り返しにより読み手がグイグイ引き込まれていく。『ダブル』、このタイトルの意味はもっと深いかも知れない。まだ1巻目ではあるが、早く続きが読みたい作品のひとつ。
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