中谷芙二子さんは、1960年代から今日にいたるまで、さまざまな作品を制作してきたアーティストだ。霧の彫刻のシリーズや、情報彫刻『ユートピアQ&A 1981』。映像作品としては、1972年に小林はくどう氏との共同制作の『水俣病を告発する会―テント村ビデオ日記』、『老人の知恵―文化のDNA』など、活動の範囲は多彩だ。そのなかでも忘れてならないのは、1980年に原宿に開設されたビデオギャラリーSCANでの活動である。日本で唯一のビデオアート専門ギャラリーとして、国内外の作品の紹介や、1981年からは公募展などを主催し、数多くの映像作家がここから巣立っていった。このビデオアートを根底から支えていった活動は称賛に値する。