作品が始まってすぐ、絵巻物のような平面的な構図のなかに、小さな村の一部と思われる広場が映しだされる。そこでは豆粒のような人物たちが、猫を追いかけ、自転車に乗り、結婚式を挙げ、杖をついて橋を渡る。さて、いつその人物たちのクローズアップになるのかと思いきや、いつまで経ってもカメラは最初の構図を動かず、人物たちも繰り返し猫を追いかけ、自転車に乗り、結婚式を挙げ、杖をついて橋を渡り続ける。見る者は、それら人物の関連性とループのなかにさまざまなものを発見するだろう。進化するテクノロジーにより、いかなるものをいかようにでも形にしてしまうのが現在のアニメーションならば、「リピート」という単純きわまりない手法のなかにコンセプトを滑り込ませるこの作品は、白眉である。