webメディアの現在を精巧につかんだ作品
地上約2.45メートルから撮影されたパノラマ映像が、都市を変えながら、前へ前へとひたすら進んでいく。映像の中で交わされる言葉は、画面上の景色とは直接関係を持たない。しかし、偶発的に起こる言葉と風景の間断のない接触により、おしゃべりを楽しみながらドライブしているような不思議な映像が生み出されている。やがて見慣れた風景が出現すると、もはやこちらも映像とは無関係なままではいられず、強引に引き込まれていくような感慨に捕らわれた。ある意味では、Webメディアの現在を非常に精巧につかんだ作品である。
『NIGHT LESS』とはGoogleストリートビューが昼間にしか撮影できない仕組みのため、この作品にも必然的に夜が存在しないことに由来する。その点をタイトルに入れる洒脱さもこの作品の背景にある感受性を象徴している。